この1年で何が変わったんだろう。
何の役に立つのか解らない知識だけが増えて、年もとる。
新しく会った人もいれば、離れていく人もある。
相変わらず表面だけノーテンキにしていても、自分の心の内まで誤魔化しきれず
夜中に寝ていて無防備になると、ひどくうなされる。
不安だし、怖いし、訳がわからない。
これこれの理由で悩んでいる。
それが解ってたら、全然問題ないんだけどそれがよく解らないから余計に。
勉強、対人関係、恋愛、将来について・・・・。
よくあるのを並べてみても、これといって正解が見つからない。
以前にも何度か、漠然と不安な気持ちに苛まれたことはあったけど、
こんなにも長く続くとかなり、憂鬱な気分にされる。
確かなことは一つだけ、自己を保つのがギリギリになってきてる。
ゆるやかなスロープを上がった、T字路の所に寄りそう2つの影があった。
紺系統のダッフルコートを着た男の子と、暖かそうな白いセーターを着た女の子。
年の頃は高校生くらいだろうか。
瞼を閉じたまま、長い口づけを交わしている。
何故だか知らないが、少し轢きたくなった。
腹が立った。
いや、そう思った自分に対して、腹が立ったんだわ。
吐く息の白さと、頬を通り過ぎていく冷たい風を感じながら・・・やっぱり冬は嫌い。
信号待ちが終わってやっと動き出した時、隣の道から2台の乗り物が割り込んできた。
1台は地元中学校の制服を着た女の子。
もう1台は、ノーヘルで金色に染めた髪をした二人が乗っている原付。
ナンバープレートを折り曲げて隠して、悪趣味にテールランプをチカチカ光らせている。
低走族にでも憧れているのか、情けないエンジン音を立てながらトロトロ運転をしながら、
前にある女の子の乗った自転車の少し斜め後ろを走っている。
その女の子を追っかけているのか、知り合いなのか。
改造されたマフラー音の中では言葉が聞き取れなかった。
そんなことはどうでもいい。
我慢の限界が近づいた所で、ちょうど違う方向に曲がっていった。